仕事も忙しさを増し、ストレスが溜まりやすい年末ですが、みなさまは上手にストレス発散できていますか?
*美容施術で自分にご褒美
*友人とのお食事会で美味しいものを頂く
*欲しかったものをお買い物
*温泉や海外・国内旅行
*ライブや映画鑑賞・観劇
*ディズニーランドやユニバーサルスタジオで絶叫マシーンに乗る
など、ストレスの発散方法は人それぞれ。本日は美術館という非日常の空間で心に安らぎ・癒し時間をお届けいたします。現在『クロード・モネ 睡蓮のとき』が上野西洋美術館で開催されています。
クロード・モネは知らない方はいないほど有名な画家ですが、パリのマルモッタン・モネ美術館から50点が来日、国内所蔵作品を加えて64点過去最大規模の展示で、いつもの作品と違うモネに出会えると思います。モネの作品は穏やかな水面と色彩豊かな花々で、観るものに安らぎと癒しを与えてくれます。色彩や筆使い、風景など作品にじっくりと向き合い非日常の空間で自分を見つめ直すのもたまにはいいかな?
クロード・モネ 睡蓮のとき 64点のモネの絵画 過去最大規模の展示です
クロード・モネは印象派を代表する画家の一人です。(1840〜1926年)50歳になったモネはノルマンディの小村ジヴェルニーの土地と家を買取これを終の棲家とし、数年後に睡蓮の池のある『水の庭』を造成しました。この睡蓮の池こそが以降の画家の心を占め続けた最大の創造の源に他なりません。睡蓮の連作を中心にモネの晩年の芸術をご紹介。
モネの晩年の作品
モネの晩年は、家族の死や自身の白内障に苦しみ、第一次世界大戦といった多くの困難に直面した時代でした。そのなかで、睡蓮の池の水面を描いた巨大なカンヴァスによって部屋の壁面を覆う『大装飾画』の構想を抱きます。『大装飾画』の制作過程で生み出された大画面の<睡蓮>の数々です。未完の構想を外に出すことを嫌ったモネは、それらの作品の大部分を最期までアトリエに残しました。彼が生前に唯一<睡蓮>の装飾パネルを手放すことを認めた相手が、松方幸次郎でした。松方はジヴェルニーのモネの自宅を訪れ画家と交流し、最終的に30点もの作品を収集しました。それらは今日の国立西洋美術館のコレクションの白眉を成しています。
モネの作風
モネは、水面に映る光や空、水中の様子を描き、その効果を追いかけることに人生の後半を捧げました。モネは単に風景を描くではなく、水面に映し出された光を丹念に映し取ることで、目の前に広がる風景を表現しました。
オランジュリー美術館の空間を楽しむ
階段を降りて個性豊かな曲線の空間で憧れの『モネの睡蓮』が撮影できるエリアです。モネの睡蓮の世界にたっぷりと浸ってください!あなたのお気に入りの一枚はどれですか?
モネの睡蓮の特徴は、明るく鮮やかな色彩と柔らかな筆使いです。光の表現に注力し、色彩を重ねて独自の印象を生み出しました。
睡蓮の池
モネは自然豊かなジュヴェルニーへ移り住み、絵画制作だけでなく自宅の庭作りにも没頭します。<花の庭>をそして<水の庭>を手がけました。1899年に太鼓橋のある睡蓮の池をモチーフにした作品に取り掛かりました。様々な光の条件下で描いた18作品のうちの一つが1899年に制作された睡蓮の池です。
睡蓮 柳の反映
二股に分かれた枝垂れ柳の幹がかたちづくる緩やかなS字形の半映像がオランジェリーの大装飾画農地<木々の反映>の中心のモチーフを成しています。モネはこのモチィーフに大きな感心を寄せていたとみえ複数の素描と6点の習作、2016年に再発見された旧松方コレクションの中に書き込んでいます。縦横2メートルの本作は最も巨大なもので、荒々しいマティエールをとどめた正方形の画面の中央に青の明暗の調子で表された樹影の茫たる形象が浮かび上がります。垂直の鋭いタッチで表された木漏れ日のきらめきは白内障による失明の恐怖の只中にあった画家の光への渇望を伝えるかのようです。
睡蓮1916〜1919年 水面に映し出される木々や雲の繁栄をモティーフとする作品
大装飾画とは、睡蓮の池を描いた巨大なパネルによって楕円形の部屋の壁面を覆うという、モネが長年にわたって追い求めた装飾画プランでした。モネが大装飾画の構想において意図していたのは無限の水の広がりに鑑賞が包まれ、静かに瞑想することができる空間でした
モネの言葉
『大勢の人々が苦しみ、命を落としているなかで、形や色の些細なことを考えるのは恥ずべきかもしれません。しかし、私にとってそうすることがこの悲しみから逃れる唯一の方法なのです。』と1914年モネは言葉を残しています。1918年休戦を迎えると、彼は当時の首相ジョルジュ・クレマンソーに戦勝記念として大装飾画の一部を国家へ寄贈する事を申し出ています。
第3章 大装飾画への道 睡蓮no.11
池の水面に映し出される空と雲の反映は、1914年以降の制作において重要なモティーフの一つとなりました。本作は、青空と明瞭なコントラストをなす白い雲、鮮やかなピンク色の睡蓮の花、破面上部に垂れ下がる枝垂れ柳の葉などから、オランジュリーの大装飾画のうち<朝の柳>の右のパネルを想起させます。その一方で、その自由な筆致や、水面と雲をほのかに染めるオレンジ色の光などには、最終的な画面には見られない画家の生き生きとした感覚が刻印されています。記憶を頼りに絶えず画面に筆を加える過程において、一瞬の印象を熱く塗り込め、普遍的な自然の循環へと変貌せしめました。
感想
今回の『睡蓮のとき』は睡蓮だけでなくアイリスやアガバンサスの花の絵も新鮮で可愛い作品でした。いつも目にする優しく柔らかな色彩の絵画だけではなく、白内障で苦悩したことが感じられる作品もあったり、新たなモネに触れられました。モネは白内障で苦しんだ末86歳で手術をしたそうですが、画家人生の終わりを憂いていたようです。モネは『人は私の作品について議論し、まるで理解する必要があるかのように理解したふりをする。私の作品はただ愛するだけで良いのに』という言葉を残しているそうです。モネは86歳でこの世を去るまでに300を超える作品を生み出しました。今回の展示はモネの作品のほんの一部だけです。今は現実的に厳しいですが、老後はパリのオランジュリー美術館へ行ってモネの最後の大連作<睡蓮>を見たいです。
国立西洋美術館 https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2024monet.html
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