MENU
カテゴリー
目次

[ルノワール?それともセザンヌ?あなたはどっち推し?]2人の巨匠対決!三菱一号館美術館ルノアール・セザンヌ展レビュー

暑い日が続いていますが、体調は崩されていないですか?50代の私たち、仕事に家事に追われて疲れ果て、常に余裕がなくてイライラしている方や、逆に子育てがひと段落して、自分時間を持て余すようになった方も多くなってきた時期ですよね?

忙しい日常から解放されて、一瞬でもホッとする時間を保つことも大事。平凡な日常を離れてインプットする時間も大事。自分自身を保つためにも、非日常を楽しんで充電することは大切にしたい時間です。温泉へ行って疲れを癒したり、パワースポット巡りなど旅行をするのも一つですが、もっと手軽に非日常を楽しめる空間が美術館です。

今回はルノワール VS  セザンヌ モダンを拓いた2人の巨匠 へ行ってきました。オランジュリー美術館・オルセー美術館コレクションよりルノアールとセザンヌの代表作品+ピカソの作品が52作品集結!日本唯一の開催となっておりますので、ぜひこの機会に足を運んでみてはいかがですか?

オランジュリー美術館・オルセー美術館コレクションより
ルノワール VS セザンヌ〜モダンを拓いた2人の巨匠
  • 会期;2025年5月29日〜9月7日(日)
  • 開催時間;10:00〜18:00(祝日を除く金曜日と第二水曜日・9/1〜9/7は20時まで
  • [夏の特別夜間開館]8月の毎週土曜日も20時まで開館します*入場は閉館の30分前まで*
  • 休館日;月曜日 ただし、祝日の場合、トークフリーデー[6/30 ,7/28,8/25,9/1]は開館
  • 場所;三菱一号館美術館
  • 観覧料;当日券 一般:2500円 大学生:1500円 高校生:1300円 中学生以下:無料
  • 毎月第2水曜日[マジックアワーチケット]1800円(当日17時以降にチケット窓口で販売。他の割引との併用不可
  • 特別セット券;三菱一号館美術館と静嘉堂文庫美術館をめぐろうチケット!3600円(2館セット券)*イベント期間;7/19〜8/31
目次

三菱一号館美術館

東京駅直結でアクセス便利な美術館で、雨の日も濡れることなく、暑い日も地下通路を通ってくるので傘も日傘も必要なしの便利な立地です!

一瞬『ここは日本ですか?』と錯覚させる異国情緒あふれる赤煉瓦の空間が非日常を演出。都会のど真ん中とは思えないほどの新緑の木々と季節の花々が出迎えてくれるので、空気が美味しく感じられ、ホッと癒してくれます。

赤煉瓦の建物は、三菱が1894年に建設した『三菱一号館』(ジョサイア・コンドル設計)を復元したものです。コレクションは、建物と同時代の19世紀末西洋美術館を中心にアンリ・ド・トゥールズ=ロートレック、オディロン・ルドン、フェリックス・ヴァロットン作品等を収蔵。

館内には、ミュージアムカフェ『cafe 1894』ミュージアムショップ『store1894』丸の内体感スペース『歴史資料室』を併設しています。

ルノワール VS セザンヌ

ピエール=オーギュスト・ルノワールとポール・セザンヌは、印象派およびポスト印象派を代表する2人の巨匠です。彼らは1874年の第一回印象派展から19世紀末、20世紀初期にかけてそれぞれ独自の様式を確立し、重要な役割を果たしました。

ルノワールは、筆触分割の技法に馴染めずに徐々に離れてゆき、縦線に回帰しつつ、優美さと調和を兼ね備えた作風を生み出しました。

セザンヌは、印象派の画家と接触することで明るい作風となり、幾何学的な厳密さを保ちながら自身の制作に打ち込みました。

2人は印象派の画家を通じて知り合い、彼らの間にはお互いを認め合う友情が芽生え、生涯に渡り良好な関係が続きました。1882年ルノワールは南仏のセザンヌの拠点を訪れ、滞在しながら制作を行いました。冬に肺炎に罹ったルノワールをセザンヌとその母が看病するなど、互いに支え合う関係がありました。

風景画

雪景色(ルノワール)VS 赤い岩(セザンヌ)

ルノワールは生涯で何度か雪景色を描いていますが、『私は寒さに弱かったから、冬の景色といえばこの作品だけだね・・・あとは2、3点の小さな習作も覚えているよ』とアンプロワーズ・ヴォラールに語ったそうです。

赤い岩は、セザンヌの故郷エクス=アン=プロバンス近郊の採石場を題材としています。青い空、赤い岩、緑の木々を表現するために、一定の方向性を持つ筆致を機械的に並置しています。

人物画

印象派の画家たちは、静物画というジャンルを新たな書き方で刷新しました。とりわけルノワールとセザンヌは静物画を描くにあたりさまざまな手法を試みています。

2人の出会いは1860年代のパリ。共通の友人がきっかけで出会い、その後も長く交流が通いたそうです。職人の家に生まれたルノワールは、10代から陶器に絵を描く仕事についていました。その後本格的に絵を学び、仲間らと印象派を作り上げていきます。一方のセザンヌは、南フランスの裕福な家庭に生まれ、法律家を目指していましたが、パリに出て画家になる決心をしたそうです。

タイプの違う2人ですが、タイプが違うからこそお互いを刺激し合い、惹かれ合い、尊敬することで、より深い絆を築いていったのでしょうか?

人物の形態と色彩

ルノワールは、ロココの画家フランソワ・ブージェの作品(水浴のディアナ)を見て女性の身体に対する関心を深めました。若い女性の柔らかく真珠のような肌の描写を好みましたが、セザンヌの粗く力強い身体の表現とは対照的です。ルノワールとセザンヌは風景画だけでなく人物画にも優れた作品を残しています。

ピエロ姿のクロード・ルノワールは、ルノワールの三男を描いた肖像画です。8歳の彼はピエロの衣装を着ることを嫌がったため説得するために、おもちゃの列車を買う約束をしたという逸話があります。

ルノワールが肖像画を親しみやすい雰囲気で描き出すのとは異なり、セザンヌは対象とは距離感のあるアプローチをとりました。セザンヌ夫人の肖像では、背景やドレスに描かれた青や緑が人物の顔にも塗られることで理想化が妨げられています。

セザンヌ夫人の肖像画は、彼が最も多く描いたテーマの一つです。無表情で固く結んだ口元が強い意志 愛憎を表現しているようで目を奪われました。セザンヌの画家としての深い洞察力と夫婦の複雑な関係性が表現されている作品に見えました。

遊ぶクロード・ルノワール

ルノワールは、たびたび何かに没頭する少女を描いています。従来の肖像画や風景画の伝統を受け継ぎつつも、定式にとらわれず日常の何気ないシーンを描く試みと言えるでしょう。印象派の画家の多くが、形態を希薄にしていく傾向にあることに対して、ルノワールとセザンヌは、線描と色彩を重んじながら理想的な形態のバランスを目指しています。

ガブリエルとジャン

ルノワールの次男 ジャンと乳母ガブリエル・ルナール。おもちゃで遊ぶ2人の顔立ちが非常に繊細かつ丹念に描かれている一方で、他のおもちゃや背景などは簡素化されて曖昧ですね?

長い髪の浴女(ルノワール)VS 3人の浴女(セザンヌ)

長い髪の浴女は、ルノワールの晩年の傑作の一つです。肌は透き通るような白さを保ちながらも、頬には赤みがさし、健康的な生命力と見るものを惹きつける官能的な美しさが表現されています。今まさに水から上がろうとする一瞬をスナップショット的な感覚を感じさせます。

3人の欲女は、セザンヌの初期の作品の一つです。左側には2人の水浴者の身体の対角線をなぞるように、斜めに傾いた木が描かれ、人物による三角形のフレームに焦点が当たるよう構成されています。セザンヌは、緑色と黄色の濃淡を並置することで、木の枝と葉を表現し、光と影のコントラストを強調することで画面に力強さを与えています。 

頰づえをつく女 ルノワール

ルノワールは、女性を描くことが得意でした。彼の描く女性像は柔らかな光に包まれ、ふくよかで健康的な美しさを持っています。『幸せすぎて退屈・・・?』と感じたのは私だけでしょうか?

バラをさしたブロンドの若い女性

ルノワールが晩年に描いた作品。若きアンドレ・マドレーヌ=ウシュリングの肖像画である。彼女はルノワールの最後のモデルで、後に女優となりルノワールの息子ジャンと結婚し、ジャンが監督する映画に出演。ルノワールはよく女性像に花を添えますが、特に1900年代初頭からはバラ、それも満開のバラを描くことを好み、それを女性美の象徴として用いたそうです。

ピアノを弾く少女たち ルノワール

微笑みながらピアノに向かって身を寄せ合う少女たち。暖色を基調にした眩い色彩の協演は室内に満ちる音楽をも視覚化するかのようです。19世紀の流行の画題でもあったピアノ演奏をモティーフに、優雅でくつろいだ理想的な家庭像を見事に表現した作品です。

5人の水浴する人々 セザンヌ

『水浴』と言うテーマは、ギリシャ・ローマ時代から続く西洋美術における古典的なモチーフです。セザンヌは、単に模倣するだけでなく、彼独自の手法で描いてあるのでしょうか?人物画、上えん114木々や空、水面といった自然の要素と一体化するような配置になっているようにも見えます。セザンヌの水浴図には三角形の構図が多く使われているようですが、みなさんわかりますか??

われわれの運動で(印象主義の)一番重要な点は、絵画を主題から解放したことにあるという気がする。私は花を描いて、それをただ『花』と呼ぶことができる。それに何かの物語らせる必要はないのだ〜ピエール=オーギュスト・ルノワール

静物画

印象派の画家達は画家達は静物画と言うジャンルを新たな描き方で刷新しました。

ルノワールは色彩豊かで柔らかな筆致を用いて静物を描き、生き生きとして優雅で調和の取れた作品を多く残しています。彼の描くバラやダリアなどのモティーフは静物画としてだけでなく、肖像画の一部としても描かれています。花瓶の光沢の繊細な描写は陶磁器の絵付け職人を務めていた経験が活かされています。

バラ ルノワール

ルノワールが生涯にわたって花を描き続け、特にバラは彼の作品に繰り返し登場するモチーフでした。彼の描くバラは、単なる静物画にとどまらず、彼の芸術における光、色彩、そして生命の喜びを象徴するものでした。

赤、白などバラの持つ様々な色合いをルノワール独特の優しい色彩感覚で表現しています。背景の色とコントラストやグラデーションの美しさも際立っています・生き生きとした生命力に満ちており、見る人に幸福感や安らぎを与えます。

桟敷席の花束 VS 青い花瓶の花

『桟敷席の花束』は劇場の一席にポツンと置かれた白いばらの花束。この絵を見てみなさんは何を想像しますか?

  • 誰かを待っている花束
  • 終演後に渡しそびれた花束
  • 今まさにまさに渡しにいこうとする花束

一方のセザンヌの作品はいかがでしょうか?一見すると地味で寂しげな印象の白薔薇のように見えます。セザンヌ独特の視点(一つの視点から見た対象をそのまま描くのではなく、さまざまな角度から見た要素を一つの画面に統合しようとする)で捉えたお花と花瓶なのでしょう?花の球体としての量感、茎や葉との関係性、背景との関係性など完璧な実写性よりもその形や空間における配置が重要視されているのでしょうか?

桃(ルノワール)VS わらひもを巻いた壺・砂糖壺とりんご(セザンヌ)

ルノワールの桃は、ジューシーでみずみずしい質感が非常に魅力的に描かれています。そのみずみずしい生命力が、見る人に明るい希望や安らぎ・豊かな生命の息吹を感じさせてくれそうです。

一方のセザンヌは色彩と形態の相互作用を重視。『りんごひとつで私はパリを驚かせたい』と言う言葉を残している通り、特にりんごのモチーフはセザンヌにとって特別な意味を持っています。彼の静物画は厳密で幾何学的な形態を持ちながら、複数の視点を用いて不安定な構図を意図するなどまさに『絵画の実験場』といえます。

花瓶の花(ルノワール)VS 青い花瓶(セザンヌ)

花と果物 セザンヌ

チューリップ ルノワール

中型の花瓶に赤や黄色、ピンク色のチューリップがぎっしりと生けられている。温かい色調と密度のある構図によって強調された静物の力強さは、ルノワールがヴォラールに語ったとされる言葉『花はドロクロワの戦場場面のようなものだ』を想起させる。

いちご ルノワール

最後に

ルノアールとの出会いは中学生の美術の時間だったでしょうか?『ピアノを弾く少女たち』の絵に魅せられて模倣したのを覚えています。パリに行ったときには美術館へも足を運びル、ノアールの作品たちにため息がもれた記憶があります。ルノアールの暖かい色調や柔らかなタッチが、ピント張り詰めた心をほぐしてくれます。

一方で、セザンヌの絵画は暗くて、華やかさがなくどっちかというと陰湿な感じがします。お恥ずかしながら、『なぜ巨匠と言われるのだろう?何がすごいのだろう?』巨匠と言われる所以が正直わかりませんでした。

セザンヌの描く絵画は、奥にある構造、本質的な形、幾何学形に還元して捉えて再構築することで、より永続的で普遍的なリアリティを追求しているそうですが、みなさんはどう捉えてますか?

この先もたくさんの芸術に接して、感性を磨いていきたいです🌷

にほんブログ村 美容ブログ 50代女磨きへ
にほんブログ村

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次